コロナウイルスが蔓延し、経済活動自粛となり、数多くの企業が経営難となる中、とある企業の株価が上昇しています。
その名は「イーギャランティ㈱」
私自身、決してイーギャランティの回し者ではありませんが、自社の倒産リスクを回避する手段として導入しており、皆さんにも何か役立つのではないかと思い記事にしてみました。
サービスの内容は?
イーギャランティのサービス内容は多岐に渡りますが、主要なサービスを簡単に説明すると、取引先が倒産した時に、あらかじめ設定した支払限度額を上限に債権を肩代わりしてくれるものです。
【法人向けサービスの一覧】
・ 売掛債権保証サービス(今回使用したサービス)
・ 請負債権保証サービス
・ 債務者委託による保証サービス
・共同購入における保証サービス
・海外輸出債権保証サービス
・ その他各種債権保証サービス
ここで疑問が湧きました。今回の様に、コロナウイルスが原因で、あらゆる企業が倒産したとしたら、果たして、イーギャランティは保証金の支払いをちゃんとしてくれるのだろうか?
この疑問については、次の項目で説明します。
イーギャランティが倒産しない理由
イーギャランティが倒産しない理由は、引き受けたリスクを流動化し、各機関(ファンド、金融機関、機関投資家など)に対して売却することで資金調達を行うと共に、リスクを第三者に移転させている。そのため、不景気に多額の支出を伴ったとしても倒産しないという仕組みが出来上がっているのです。
倒産しない理由の2つ目は、不景気になれば、債権保証サービスを受けたいというニーズが高まり、イーギャランティの業績は好調となり、結果として自社株の価値が上がります。これにより資金調達が行いやすい構造もできていると想像されます。
ではここで、イーギャランティの株価の推移を見てみましょう。
私が、イーギャランティのサービスを契約したのが、2020年の1月初旬でした。その後、コロナウイルスの影響が徐々に顕在化してきたとほぼ同時期に、日経新聞に同社のサービスが紹介されたことも相まって、当時¥1,100前後だった株価はその後、2020.5月19日付で、年初来高値¥2,313を付けるまで上昇しました。(私がこの株を買ったかは秘密です(笑))
年初来高値
具体的な活用例
今回私は、イーギャランティのサービスを以下の様な使い方をしました。
①既に売掛金があり、かつ、支払いサイトの長い企業に対して設定した。
②コロナウイルスの影響を受けやすい企業・業種に設定した(飲食、観光など)。
③新規取引先で初回の取引から高額商品を販売する場合に設定した。
の3点です。
①については、大企業ほど中小企業に対する支払いサイトが長くなる場合が少なくなく、かつ、売掛債権が多額になりやすいことから設定しました。
②について、契約当初は、ここまで飲食・観光業に影響がでるとは思ってませんでしたが、恐らくこれらの業種は経営難に陥るだろうという予測の下、設定をしました。
③については、不景気になると、他社に転売可能な高額商品(数百万する発電機など)を購入後、代金を支払わず倒産させ、商品を転売して儲けようとするヤカラが過去にもいたことから、これを回避する為に、イーギャランティのサービス保証料を見積もりに上乗せして(保証料の負担をヤカラに押し付けるため)提示することでリスクを回避する為に設定しました。
実際いくらぐらいの費用が発生したか?
今回、保証限度額(得意先が倒産した時に保証される総額)を29百万円として、得意先10社を対象に、契約を結びましたが、発生した費用は年額で約85万円でした。
これを高いとみるか、安いとみるかは経営者次第だと思います。
また、ここがポイントなのですが、支払った費用は、全額損金算入可能となっております。
その上、得意先が倒産した場合の入金については、益金算入ではなく、売掛債権の通常の回収と同じ扱いとなるため、特段税金が上乗せになることがありません。
リスク回避と節税が同時にできています。
終わりに
会社が将来にわたって事業を継続する(ゴーイングコンサーン)為には、できる限りリスクは回避しなければなりません。
過去にも、東日本大震災やリーマンショックを契機として、不況になることがありましたが、今回のコロナショックの怖いところは、ワクチンが開発されるまでは、常にリスクと背中合わせであり、経済の減退前に戻るのにどれほどの時間を要するかの予測がつかないところです。
この様な状況の中で、イーギャランティが提供するサービスを利用することの価値は計り知れないと思います。
では、ここで思うことは、何かと申しますと、経営と寄り添い行動すべき税理士がこのようなサービスを経営者に進めていただろうかということです。
私の周りの税理士でこのサービスを進めている人はいませんでした。
確かに、サービスを利用するに当たりそれなりのコストが発生しますので、経営者に説明したところで聞いてくれないだろうと思うのも仕方ないかもしれません。
しかし、企業を継続させることは、結果として税理士の収入を支えることになるはずです。
私は、本当に経営者に寄り添い、事業継続の相談に的確にアドバイスできる税理士になりたい!!
そう思うこの頃です。