大学院編(一年次)

これまで大学生の経験がなく、専門学校で暗黒の4年間を過ごした私でしたので、大学院入学後は、キャピキャピの女子学生と、うふふ、きゃっきゃ♡な学園生活を夢見ていました。が、再び暗黒の2年が始まるとはこの時は、誰も知る由もないのでした。

今回の記事では、大学院に入学後の一年次に行ったことや注意点を書いていきたいと思います。

(超重要)授業のスケジュールを立てる

大学院に入学して一番最初に行ったことは、授業のスケジュールを立てるということでした。

私は、大学に通ったことが無かったので、単位がいかなるものなのかもわかっていませんでした。

私が入学した大学院では卒業する為の単位が予め設定されており、2年間の間にその単位数を満たす必要があります。

社会人過程の単位の取り方のセオリーとしては、一年次に卒業に必要な単位を取り終えて(ゼミに係る単位や修士論文に係る単位を除く)、二年次は修士論文に集中するというのが一般的かと思います。

自分は、他の社会人の方とは異なり、時間の融通がききましたので、本当に自分が興味のある、また、経営に関わる授業を選択して取っていました。

他のゼミ生達は、仕事のスケジュール優先のため、平日に取れる単位を優先して取っていました。(その為、フランス経営史みたいなわけのわからない授業を選択せざるを得ないようでした・・・)

唯一気を付けないといけない点は、税法科目の免除を行うためには、税法科目免除申請に係る科目を内容とする単位を4単位以上取得する必要があるということです。(この点については国税局ホームページを参照してください)

この点を満たさず、単位取得のスケジュールを作成してしまうと、2年間が全て無駄になりますので超注意が必要です。

研究テーマの選定・決定

大学院のゼミで一番苦労する場面が、研究テーマの選定及び決定です。

何故苦労するかというと、自分の体感としては以下の理由があると思います。

①過去に多くの人がテーマとして取り上げた、ありきたりなテーマ(判例)は、教授がOKを出してくれない

②自分がやりたいテーマが、担当教授の専門外

③教授の目から見て、そのテーマではオリジナリティを望めない。

①については、修士論文の結論が既に見えている様な稚拙な論文を教授は書かせてくれないということです。

正直、大学院の教授たちは、税法免除を良く思っていません。

教授たちはあくまでも大学院には税法の研究に来ているのであって、副産物として税法免除ができるだけという感覚でいます。当然と言えば当然です。

大学院の中には、「うちの大学院を卒業すると税法免除できますよ~」と謳い文句を語り、学生を集めるところがあるのも事実です。

しかしながら、MARCH以上の大学院は近年、税法免除の対象となる大学院の学生を減らす傾向にあるといっても過言ではありません。(恐らく弁護士を目指す法科大学院の学生を削減している流れや今後税理士試験の税法免除を無くしていく方向性から少なくしているのではないかと個人的には推測しています。)

そのため、過去に取り上げた(特に教授が在籍した数年間の間に既に学生が書いた内容についてはテーマ変更がなされる可能性が高い。ただし、オリジナリティを出せる場合は異なる。)テーマについて、教授は快諾してくれません。できる限りタイムリーな判例で、あまり世の中にない論文の方がテーマとして快諾されやすい印象があります。(TAINSを利用すると最新の判例を探すことができます。)

②については、やはり教授といえど専門分野があります。そのため、完全に専門外のテーマは、なかなかやりたがらないなぁ、というのが私の印象です。

私の担当教授は、法人税には強いと思いましたが、個人に係る税金(所得税や相続税など)にはそんなに強くないなという印象です。

私は当初研究テーマとして、当時話題になっていた女性の社会進出に伴う課税単位の在り方について論文を書きたいと申し出たのですが、教授の中で①・②・③の全てに合致したため、そのテーマではダメだとなりました。

確かに、教授との討論の中で、「君の考える結論はこうでしょ」と簡単に結論を当てられてしまい、自分は「安易だったな、オリジナリティがないな」と感じるばかりでした。

その後、薦められたのは、やはり法人税関係でした。

ただし、これには理由もあります。重要判例として取り扱われるものは、圧倒的に法人税関係の判例が多いのです。また、これは教授との雑談の中での会話ですが、「国税局に提出する論文としては法人税関係の方が当たり障りなく、むしろ印象が良い」とも言ってました。確かに、税務大学校の「税務大学校論叢」の論文は法人税関係のものが多い印象です。

③については、正直、この点が論文を書く上で最重要だと思います。

結論から言えば、論文の結論や結論を導き出すロジックが、これまで世の中にある論文とは一線を画す、自分自身で考えたオリジナリティがある論文こそが一番重要であるということです。

これ、ゼミの度に教授に毎回言われました。

しかしながら、一朝一夕ではオリジナリティのある論文は書けません。

結局、私はテーマが決まるまで1年3ヵ月程かかりましたし、それまでに100冊以上の本や数多くの判例解説を読みました。そうしてやっと、オリジナリティのあるロジックや結論を導き出すことができました。

論文を書く上で、注意すべき点としては、研究の範囲を広げ過ぎないということと、英語が得意でない人は海外案件をやってはいけないということです。

私の論文は、詳細は書けませんが、「租税回避行為に対する対抗策」的な論文を書きました。

正直、範囲が広すぎて2年間という限りある時間の中で、やり遂げるのはギリギリでした。(仕事の融通が利かなければ、留年していたでしょう。)

研究テーマの選定と決定は根気のいる作業です。また、こればかりは、担当教授との関係の中で構築していく部分も多くありますので、私の経験談はこれくらいにしたいと思います。

一つでも参考になる部分があれば幸いです。

どうだったでしょうか、一年次は上記の様に、授業とテーマ選定・決定だけで時間をとられてしまいました。

二年次は、実際に論文を書き始めます。興味があれば是非読んでみてください。

宜しくお願い致します。

次回はこちら⇒【大学院編(二年次・卒業)】