大学院編(二年次・卒業)

大学院の二年次は、いよいよ修士論文の作成に入っていきます。この頃には、周りのゼミ生達もテーマが決まり、ひたすら文章を書く日々が始まります。

そんな中で感じたことやこうすればよかったなと思うことを書いていきたいと思います。

論文を書く手順

論文を書く手順について、私は、決してプロではないので、偉そうに書くつもりはありません。あくまでも、私の経験談として見て頂ければ幸いです。

論文で求められるものは、 論文の結論や結論を導き出すロジックが、これまで世の中にある論文とは一線を画す、自分自身で考えたオリジナリティがある論文であるということです。

そのため、まず初めに自分の取り扱う租税判例に関する学者の評論や書籍、解説などを全て目を通します。(大学の図書館が充実していた為、概ね大学の図書館で書籍を集めましたが、手に入らない書籍については国会図書館に行ったり、または、郵送による入手をしていました。)

その中で、自分の論文の結論を決めます。

そして、その結論になるためには、学者の意見や既存の研究を適切に組み合わせて、学者の反対意見をも論破できるようなロジックを構築します。もちろん、このロジックには、学者の引用ばかりを使うのではなく、自分の言葉を使って考えを積み上げていくのです。

(ざっくりいうとこんな感じですが、ロジックの構築を自分で作り上げることが非常に苦労しました。普段やる事ではないので、無い頭をフル活用して文章を作り上げなければなりませんでした。分からないときは教授にアドバイスをもらうとよいでしょう。なお、私の担当教授は、簡単にアドバイスをくれませんでした(笑)自分で考えなさいとよく言われました(笑))

なお、私の論文の構造は、以下の様な感じです。

題名:租税回避に対する対抗策(仮)

第一章 問題の本質

第二章 問題に対する現行の対抗策

第三章 諸外国における対抗策

第四章 新たな対抗策の導入提言

第五章 導入する具体的な対抗策の規定の在り方

一連の流れとしては、現状の問題の把握→問題の本質とは→問題に対する対抗策の把握→現行の対抗策では対応できていない→一方諸外国はどうか→ある程度うまくいっているところもあれば、うまくいっていないところもある→日本のこれまでの対抗策を鑑みるとこういう方法もあるのでは→その根拠はこれ→根拠からから導き出す具体的な規定の在り方はこれ→結論、これならできそうでしょ!

っていう流れでした。

(細かく書くとネタバレするので、本当にざっくりです。なお、各章には1~5節くらいに分かれています。)

これを文章量でいうと大体95,000字くらいでした。参考文献は130冊程(記事含む)です。

なお、私のゼミでは、最低50,000字、参考文献50冊以上でなければ、校内審査すら受けさせられないと言われていました。(ただ、実際に論文を書き終えた時にはこれくらいの条件はクリアされていると思います。)

大したことは書けませんでしたが、論文で大事なことは、オリジナリティと結論を導き出すロジックだと思います。

悩みに悩んで生み出した結論、そして、そこに行きつくまでの過程(ロジック)がうまく組み合わさってできた論文が完成した時の達成感は何事にも耐え難いものがあります。

タイムスケジュール

私が通った大学院での大体のタイムスケジュールを書いておきます。

入学→4月(受ける授業を決める)→5月~翌3月(授業に出席し、単位獲得)→4月(論文書き始め)→5月(テーマ発表会)→9月(中間発表会)→11月(論文提出前、審査)→1月初旬(修士論文提出)→1月後半(論文審査及び面接)→2月成績発表→3月卒業

終わりに

大学院の2年間は、本当にあっという間に過ぎていきました。

個人的には、仕事をしながら、子育てしながら取り組んだ学生生活だったということも過ぎ去る日々の速さを感じる要因だったかもしれません。

また、通常よりも常に頭の中で何かを考えている時間が多かったから時間が早く感じたのかもしれません。

ただ言えることは、2年間で学んだことは、税理士試験では学べないことの連続であるという事です。

とある書籍の冒頭で、租税学者が語った言葉が今でも印象的だったので、ざっくり紹介します。

「現在の税理士試験制度は条文を丸暗記することでの競争試験になっており、本来重要視されるべき条文解釈や租税判例に対する理解が疎かになっている。税理士たるべき人材はもっと租税判例に多くふれるべきだし、条文解釈も研究するべきだ」

というようなことが書かれており、まさにその通りと思いました。

大学院の修士論文を作成する過程で、条文解釈や租税判例を学んだことで、本来あるべき適切な課税を行うための知識が身についたと思います。

過去に経験した税務調査では歯がゆい思いをしましたが、今であれば、対等に、適切に対応ができる自信がつきました。

そして、2年間でしっかり卒業したことで、最短で2科目合格したのと一緒の結果なのです。(私は、卒業後の最初の税理士試験で税法科目合格したので、実質二年半で3科目受かったようなもんです)

税理士試験でうまくいかない人は一度、大学院の受験を検討してみてはいかがですか?

学ぶべきことは非常に多いですし、人生の糧になる友人も多くできます。

おすすめですよ!!