出向先での修行を終えて、ついに上場企業本体に戻ってきました。
上場企業では、本体単独の月次決算、四半期決算、期末本決算、監査対応、株主総会対応、税務調査対応などを経験しました。
本体での業務の中で大変だったことは、決算関係、会計士監査対応、税務調査対応です。
決算関係及び会計士監査対応業務は、上場企業が株主に開示するIR情報に直結する内容である為、日ごろから慎重に、そして正確な処理が求められます。そのため、関係部署とも綿密に連絡を取り合い、起こった取引事実に対して、会計上・税務上・内部統制上の観点から適正な処理を行うことを意識して行っていました。
しかし、そんな中で、事件が起こったのです。
税務調査の中で会社執行役員の横領事件が発覚したのです。
(厳密には、国税は、事前に情報を仕入れた上で調査に来ていましたが。)
詳細について、ここでは書けませんが、架空請求によるキックバックが行われていたのです。(よくある手法といえばよくある手法です)
その額、数億円。
この調査には本当に骨が折れました。こちら側は、執行役員が行ってきたことの事実を把握することに相当の時間を要し、その後、国税に対してどのように対応するかを検討しなければなりません。もちろん、その間、他の内容での質問が相当数ありました。(記憶によれば、70件以上宿題をもらっていました。)
何が問題って、上場企業の経理の総本山であるにも関わらず、人員が、
部長→課長→自分→事務員3人しかおらず、調査官6人に対し、殆ど課長と自分だけで対応するという状態でした。
最終的に税務調査は6ヵ月以上にもおよび、修正申告もさかのぼれる最高年数分行いました。
この税務調査により私は、心身ともにボロボロになりました。
半年間毎日のように帰宅は深夜2時ごろに会社を出て、タクシーで自宅へ向かい、翌朝6時には家を出る。
休日もほとんどなく、日曜日に通常業務をこなすというスケジュールでした。
平日に会社に行けば、調査官から質問攻めにあい、時には罵倒されるような状況もありました。
いつかは終わるだろうと1日1日を必死に戦い抜き、何とかピリオドを打つことができたものの、自分自身は、完全に燃え尽きていました。
もちろん、その中でも、得たものもあります。
税務調査官がどのような考えのもとでこちらを攻めてくるのか。それにはどのような論調で対応しなければならないのか。(この点については、自分の税法に対する知識量が圧倒的に足りず、また、租税訴訟の基礎知識があれば、戦い方も違ったと、大学院を卒業した今では思います。)これは、実際に経験しなければこれは体得することは出来ないことだと思います。
次に、自分や家族(妻や当時0才の子供)の時間を犠牲にして得た金銭対価(残業代や休日出勤により、毎月手取りがボーナスみたいでした。これが、唯一の救いでしたが、妻は毎日発狂し、ほとんど鬱や育児ノイローゼの様な状態でした。深夜に帰宅し、妻をなだめて、子供の寝顔を見てから数時間だけ寝て、早朝に仕事に行くということを良く続けられたなと今でも思います。精神力だけで戦っていました。)
これらの経験を通して、考えたことは、①自分の税務に対する知識を再度学びなおしたいという気持ち、②自分の時間や家族の時間を犠牲にしてまで働くことの意味とは一体何か、③当時は20代後半だったから良かったものの、周りを見ると結局40代中盤までは似たような働き方をする必要があり、健康面で不安である、④サラリーマンの収入の限界(これだけ働いても1,000万超えないという事実)です。
そんなことを考えるようになったときに、運命とは不思議なもので、私に選択肢を与えてくれました。
妻も私の仕事のせいで体調を崩しており、一時期実家に帰省させていたところ、妻の両親から、妻の実家の周辺で仕事をして欲しいと誘いを受けたのです。
ちょうどその時期に妻の両親の友人の会社で経理の人材が欲しいとの事で誘われたのです。(そのほかの理由として、妻の体調やご両親の老後の介護などのこともあります。)
その会社は、中小企業ではあるものの、経営も安定しており、上場企業を辞めて転職してくれる代わりに税理士試験の勉強の協力をしてくれると約束してくれたのです。
私は、上場企業で働くことによる金銭的余裕さえ捨てれれば、妻や子供、妻の両親や誘ってくれている会社の経営者の方、みんなが幸せになれるのではと考えた結果、上場企業を辞める決心ができました。
そして、これを機会にもう一度税理士を目指すことに決めたのです。
この時点で、最短の方法で税理士を目指すと決めていましたので、退職時の有給消化の期間に大学院受験のための予備校に通い、都内のMARCH or 日東駒専のいずれかの大学院を受験することにしました。
社会人になって、上場企業を辞めるまで約8年間、様々な人と出会い、様々な経験をする中で辛い時もありましたが、それらの事を経験することで、大きな自信となりました。今では、上場企業を辞めましたが、いつでも戻れる自信があります。また、現在進行中の大学院免除が確定し、税理士登録した際にも、どんな税務調査がきても対応できる自信もつきました。
後は、日々知識を拡充し、きたる時が来た時に行動あるのみです。
高校生編から上場企業編までご覧いただきありがとうございました。
次は、大学院編となります。
大学院編は、自分の中では、楽しさ6割、絶望4割って感じです(笑)
少しでも気になったら次の記事もみてくださいね!!
宜しくお願い致します~!(^^)!