社会人編(出向)

新入社員の配属発表がされて、いきなし出向となった私。しかしながら、この出向先で得た経験や知識は、自分の社会人生活の礎となっていく大事なものとなりました。

その中でも、一番最初の上司が本当に最高の人で、今でも感謝してもしきれないほどに自分にとって勉強になる人でした。

その上司から学んだことの中から、3つ程厳選して紹介したいと思います。

(これから社会人になる人や新入社員になられた方々の参考になれば幸いです。)

1つ目は、社会人になっても努力を怠らないという事です。

この上司は、必ず朝早く来て勉強をしていました。

その当時、自分も税理士試験の勉強を行うため、朝は7時には会社に出社し、1時間程、朝勉をしていました。

その上司は、自分と同じくらいか、少し遅いくらいには出社し、必ず勉強をしていました。

私は上司に質問しました。「○○課長は、なぜ毎日勉強しているのですか?」

そうすると上司は、「部長や、社長から聞かれてわからないことが1つでもあるのが嫌だから勉強しているんだよ。あと、部長は、自分よりも頭が良いから、その人より倍は勉強しなければその人には勝てないからね」と言ったのです。

自分よりも年上でこの人より勉強している人を見たことはその後ありませんでした。そして、この人より仕事ができる人をみたことはありません。それは、社内、社外を通じてです。税理士資格を持っている人よりも税務知識が豊富で、公認会計士試験に合格した人より、上場企業の監査に長けているのです。

ですから、税理士試験の勉強をしている私に対しては、「資格の勉強だけに特化しても、上場企業では偉くなれないからね。資格は仕事してくれないから。資格で学んだ知識をいかんなく実践に持ち込みなさい。むしろ、実戦で使用することの学習をしていった方が、企業の中では必要とされる人間になれる」とよく言われました。

正直、私は、ごもっともだと思いました。上場企業の中だけで生きていく決心がついていれば、その時点で税理士試験の勉強は辞めて、より実践で必要な知識を身につける努力をしていたでしょう。

しかし、自分の中で、どうしても税理士試験を諦められなかった部分がいつまでもありました。(多分上司には気づかれていたと思います。)

2つ目は、異常な程、気配り上手で、かつ、自分がついていくべき人(課長にとっては、部長や社長)が誰なのかをしっかりと押さえており、その人に対し、常々先回りすることで、仕事が円滑に進むように行動しているという事です。

この点は、サラリーマンとして企業の中でいかに上の役職に就くかを左右する一番大事なことだと思います。

要するにサラリーマンで大事なことは、自分のことを上に引っ張ってくれる人を自ら探し出せるかどうか。そして、自分自身が、その人が引っ張り上げたくなる人物であるかどうか。それは新入社員の時から始まっているという事です。

この点については、正直、運的な要素もあるかと思いますが、私は、最初から素晴らしい上司に巡り合うことができました。

この上司のおかげで、賞与や年間の評価が常に同期の中で上位にいることができました。(部下の評価が高いことは、最終的には上司の評価にもつながる)

3つ目は、お金持ちの所作(しょさ)を教えてくれた点です。

実はこの上司、上場企業の中で偉くならなくても良いくらい実家が金持ちです。

(金持ちゆえに、偉くなることで得られる利益の大きさを良くわかっていたとも言えるでしょう)

そのため、休日出勤の時には、お昼ご飯に、麻布十番や赤坂プリンスホテルなどの高級料理屋によく連れて行って貰い、お店での振舞い方や同席する上司への接待の所作などを教えてもらいました。

そして決まり文句の様に、「君が偉くなればいつでもこういうご飯食べれるから、仕事を一生懸命頑張りなさい。会社のためとかじゃなく、自分に跳ね返ってくるから頑張りな」と。

いつもモチベーションを高めてもらいました。

この上司とは、およそ3年間一緒に仕事をさせて頂き、できる限りのことを吸収させてもらいました。(上司は、その後、上場企業本体へ戻り、経理部部長となり、その後、子会社の社長になりました。恐らく、この後、上場企業本体の役員となるでしょう。)

そして、自分自身も出向先で4年半の修行生活を終えて、この上司に本体の経理部へ引き抜かれてまた一緒に仕事をすることとなりました。

上司との思い出話ばかりになりましたが、出向先では、以下のようなことを学びました。

・中堅企業(売上300億円以上)の経理業務全般(帳簿作成、手形・小切手作成、資金繰り、予算作成、大規模な工場経理(工業簿記の知識を使った業務)会計士監査対応、税務調査対応などなど)

正直、日商簿記1~3級の知識をフルに使う業務でしたので、とても楽しく仕事ができました。逆に、日商簿記の知識がなければ、厳しかったと思います。(プロパー社員の同期がいたのですが、やはり、基礎知識に圧倒的な差があるので、任せて貰える仕事量にも差が出ましたし、評価も全然違いました。本当に専門学校に行って日商簿記1級を取ってよかったなとつくづく思いました。

次の記事では、出向先から上場企業本体に戻り、その時起きた事件を中心に書いていきたいと思います。

この事件をきっかけに、自分の生き方を再度考えるようになりました。

そして、最終的には、上場企業を辞めます。

ただし、この事件を契機として、再び税理士を目指すこととなります。

乞うご期待(笑)

次回はこちら⇒【社会人編(上場企業本体に帰還)】