税法免除大学院の選び方と注意点

たまちゃん

税法免除大学院の選び方を教えてください!
ねこなり
とても悩みますよね~!2019年3月に卒業した私が、選ぶときに重視した点やこうすればよかったという点をお伝えします!
この記事を読むと何がわかる?
・税法免除大学院の選び方・注意点が分かります!
・税法免除大学院の特徴が分かります!
・留年し易い大学院かどうかが分かります!
・留年する人の特徴がわかります!
都内有名私立(明治、青学、立教、中央、法政、日大)+国立(筑波)の情報を卒業生のネットワークから抜粋してお伝えします!

税理士試験における税法免除を受けるために、大学院進学を希望される方も増えていますが、大学院の選び方は、何の知識もない状態だと非常に悩む場合が多いかと思います(私自身も非常に悩みました)。

確実な方法は、新宿にある税法免除大学院の入試対策をしてくれる予備校に通うことですが、費用の問題や通学ができない場所に住まわれている方もいらっしゃるかと思いますので、私の経験談が何かの役に立てれば良いなと思い、税法免除大学院の選び方についてまとめました!。

なお、入試の内容面接での質問内容などについてはこちらにまとめています。併せてご覧ください⇒【税法免除大学院入試体験談

税法免除大学院の選ぶ際の注意点

税法免除大学院を選ぶ際に注意すべきことは、以下の点かと思います。

・大学院で作成する論文が、国税庁の審査をちゃんと通るか

・社会人であれば、平日の会社帰りに通える距離か

学費が払えるかどうか?

留年し易い大学院かどうか?

これらの詳細については次の通りです。

大学院で作成する論文が、国税庁の審査をちゃんと通るか ?

この点が大学院を選ぶ際に一番重要な点だと思います。

なぜかというと、大学院選びを間違えると国税庁の論文審査が通らず、2年間という時間多額の資金を無駄にするからです。

実際、私の税理士試験仲間の先輩が、税法免除を受けるために、地方の大学院に入学し、修士論文を完成させ、卒業をしたのちに、国税庁に論文を提出しましたが、審査を通過しませんでしたその先輩は、別の大学院に入学し、現在もう一度論文作成をしています。

なぜこのようなことが起きるかというと・・・

①先輩が作成した論文は、大学院の修士課程を卒業するための要件は満たしていたが、国税庁が税法免除を認めるための基準については、満たされていない論文であった可能性がある。

②大学院の教授の質に問題がある。

③大学院に税法免除の実績が数回しかない。

④作成した論文に「盗用」や「剽窃」があると判断された。といったところでしょうか。

①と②については、「当大学院を卒業すると税法免除が受けられます。」という触れ込みだけを信じると痛い目にある可能性があるという事です。

実際に論文指導をする大学院の教授が元国税庁出身元官僚出身といった方で、国税庁と太いパイプがある人物であれば、税法免除申請も間違いなく通ると思います(ただ、勘違いしてほしくないのは、コネだけで国税庁の論文審査を通すわけではありません。教授自身、国税庁が要求する論文の質が、どの程度のレベルにあるかを、しっかりと把握されておられますので、論文指導も厳しく行われますし、当然にレベルの高い論文を要求されます。私自身、これだけ厳しく指導を受ければ、国税庁の審査も通って当然と感じました)。

その為、大学院を選ぶ際には、その大学院の教授陣のプロフィールを事前に確認することが大事だと思います。特に、自分が入学する年の修士論文作成指導教授のプロフィールを確認することが大事です。大学院の教授陣のプロフィールやその教授が修士論文作成指導教授かどうかについては、各大学院の履修要項に書いてあると思います(ホームページから確認できます。もしくは、直接電話して聞いてみても良いかもしれません。)。

なお、私を指導してくれた教授は、元国税庁幹部出身で、学歴は京大出身でした。ほかのゼミの教授は、元自治税務局長、学歴は東京大学出身でした。

③については、過去に数回実績を出しただけで、「当大学院を卒業すると税法免除が受けられます。」と謳う大学院もあるということです。

私の通った大学院は、卒業=税法免除100%とのことでした。私を指導してくれた教授は、私が卒業する年に退任でしたが、在籍期間中の卒業生は100%国税庁の審査は通っているとおっしゃってました。(国税庁の審査に落ちるような論文なら、そもそも卒業させないと豪語してました。本当に教授の指導も大学院の基準も厳しかったです。)。

④については、「IPS細胞はありまぁ~す」事件以降、大学院全体の傾向として、「盗用」や「剽窃」に対して非常に厳しく指導しているようです。私自身も大学院在籍中に、「盗用」や「剽窃」に係るWEBセミナーや同期全員を集めて説明会などが開催されましたし、「盗用」や「剽窃」が見つかった時点で論文指導をしないと教授からもゼミのたびに言われました。「引用」のつもりが結果として「盗用」や「剽窃」とならないように最大限の注意を払い論文を作成しました。

大学院の質によっては、「盗用」や「剽窃」のチェックを行わずに卒業させるところもあるようです。

なお、私が通った大学院は、「盗用」や「剽窃」をチェックするシステム(剽窃チェッカーのようなもの)を使って、抜き打ちでチェックをやっているようでした(実際に行われていたかは定かではありませんが、論文作成途中の段階から、複数回、紙媒体ではなく、WordやPDFで提出を求められたので、恐らくチェックしていたのだろうなという感じがしましたし、同期の中でも話題になりました。)。

社会人であれば、平日の会社帰りに大学院に通える時間・距離か?

通学時間・距離についても大学院を選択する際の重要なファクターとなります。

なぜかというと、通学時間・距離がネックとなり、単位がとりきれず、留年する可能性が高まるからです。

特に社会人であれば、平日の夜に、授業を取る必要が出てきます

私自身は、仕事の融通を利かすことができたので、平日は、火・水・金の夜に授業に出ていました。

ただ、東京都の大学院まで電車で1時間~1時間半かけて通学していましたのでとても大変でした(なお、後輩の中には静岡から2時間以上かけて通ってくる人もいました)。

当時(大学院1年次)のスケジュールはというと、16:30退社⇒17:00電車に乗る⇒18:15大学院の最寄り駅に到着、ダッシュで大学院へ⇒18:30授業開始⇒21:30授業終了⇒21:45電車乗る⇒23:30頃自宅到着見たいな感じでした。

特に1年目に単位をすべて取りきるスケジュールを組む人は会社から近い大学院を選ぶことをおススメします

学費が払えるかどうか ?

大学院の学費は、学校ごとに大きな差がでます

例として、都内の有名私立大学院の学費(1年次入学金その他込み)を比較すると、以下の通りです。(2019年度入学者の実績ベースの学費を載せています。また、税法免除が受けられるかどうかについてはご自分でご確認をお願い致します。基本的には、私が予備校に通っていた時に説明を受けた実績から選出しています。)

私立

【明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科】

1年次¥1,733,000- 2年次¥1,533,000- 合計¥3,266,000-

【青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科】

1年次¥1,730,000- 2年次¥1,410,000- 合計¥3,140,000-

【青山学院大学大学院法学研究科】

⇒新宿の税法免除大手予備校では、こちらの学科も税法免除の学科として紹介されていますが、現在ホームページが開かないので、ご自分で問い合わせをお願いします。

【立教大学大学院経済学研究科】

1年次¥913,500- 2年次¥688,500- 合計¥1,602,000-

【中央大学大学院経済学研究科】

1年次¥927,900- 2年次¥687,900- 合計¥1,615,800-

【法政大学大学院】

予備校の入学実績なし

公立

【筑波大学大学院企業法学専攻】

1年次¥817,800- 2年次¥535,800- 合計¥1,353,600-

留年し易い大学院かどうか

留年し易い大学院かどうかについては、体感として、その年の大学院の教授によるといえそうです

なお、私の通った大学院では、同期のうち、半数が留年しました。

私が通った大学院では、修士論文作成指導教授が3人おり、一つのゼミに生徒が大体4~5人でした。

留年の割合で言うと、私が所属したゼミをAゼミとし、残りをB・Cゼミとすると以下の通りです。

Aゼミ…1/4人留年(非常に厳しい教授) 

Bゼミ…2/4人留年(優しい教授)

Cゼミ…4/5人留年(新任の教授、癖がある、論文指導経験なし)

Cゼミの教授は、私が2年次に新任の教授として入ってきました。その為、前教授と上手く引継がいかなかったり、教授の方針がガラッと変わったことで、生徒たちも困惑したりして、修士論文が最後まで詰め切れずに時間切れになったような印象があります(ただし、全て教授が悪いのではなく、私の印象としては、生徒たちが教授を毛嫌いしてゼミをさぼったりしてもいましたので、なんともいえません。ただ、ゼミ生の一人は熱心に教授とゼミで対話をして、論文を完成させて卒業していますので留年した人の問題かと思います)。

予備校に通っていたころのネットワークから仕入れた情報としては、それぞれの学校に対し、以下の様な印象があります

【明治大学専門職大学院】

予備校の同期では入ったものがいない。理由は、学費が高いため。留年した時のリスクをとれなかった。また、入学も比較的難しい。

【青山学院大学大学院】

私の入学当時は、入試時期が他の大学院に比べて遅かったので、滑り止めとして受験する人が多かった印象。立地は良いが、学費もさることながら、専ら留年するといわれていた

【立教大学大学院】

新宿の予備校と強いコネがある印象。予備校の先生には良く勧められた。学費は低い方。予備校に通っている頃には特段留年するといわれたことがなかったが、マイネットワークの情報として、2019年3月卒業予定者の半数が留年したとの情報が入ってきた

【中央大学大学院】

予備校の同期では入ったものはいない。予備校の過去の入学歴も無かったはず。試験が難しく受からないといわれた。

【法政大学大学院】

予備校の同期では入ったものはいない。予備校の過去の入学歴も無かった。

【日本大学大学院】

予備校の同期で一番入学した人多い。入学の受け入れ人数が多く、試験も合格し易い印象。留年もあまりしないと聞いた。経済学研究科のホームページに、「税理士試験科目の免除を主たる目的とする志望者は、税法コース(税法関連科目の免除)または会計コース(会計関連科目の免除)に所属する必要があります」と書かれており、税理士試験の科目免除についても寛容

【筑波大学大学院】

学歴にあこがれて試験を受ける人が多かったです(私もその中の一人です)。しかし、予備校の同期で受かったものは一人もいませんでした。受験生のレベルが高いです(受験生は、既に税理士・公認会計士試験をクリアした人が、研究のため入るイメージです)。学費は安いです。

おまけ【横浜国立大学】

学歴にあこがれて試験を受ける人が多かったです(私は通学が遠いので無理でした)。予備校の同期が一人(女性)入りましたが、教授の要求レベルが高すぎて、知ってて当然という感じで話が進むので、その女性は、1年次に体調を崩し入院、2年次休学、その後はわかりません。

留年する人の特徴

なお、私の私見ですが、留年する人の特徴としては、以下の様なものが見受けられました。

・授業やゼミをさぼる⇒教授の評価を悪くする⇒論文指導してくれなくなる⇒留年

・2年で卒業するという熱意がない

・論文作成を甘く見ている

・大金を払っているのだから最初から最後まで指導してもらって当然と思っている

大学院に入学して、流れに身を任せれば卒業できるんでしょ~くらいにしか考えてない人は絶対に卒業は無理です。すべてが自己責任です。

大学院というものを、また、教授のレベルというものを履き違えていると思います

まずそもそも、大学院の教授たちは、生徒たちが、税法免除のために大学院に来ているとは思っていません(勿論、大方の社会人が、院免を目的に来ていることはわかってはいますが)。

教授たちは、あくまでも、大学院に来て租税法学を学び、修士論文を作成しに来ていると考えています。

しかも、論文は大学院名と共に世間に出ますので、大学院の名を汚すような、また、担当教授の名を汚すような人物が書く論文は世間に出したくはないのです。

そのため、大学院の教授は、自分が納得するまで指導しますし、その指導についてこれないような人は、すぐにサヨナラ(留年させます)です。

私自身は、大学院2年次の8月以降から大学院内の論文審査完了まで、毎日深夜2時頃まで論文作成をしていました。そこまでしないと、教授が納得する論文が作成できませんでした(当然、個人の能力には差がありますし、私は過去に論文を書いたことがありませんでしたので、なおさら時間がかかりました。しかし、周りの大学時代に卒論を書いたメンバーたちをみても同じくらいの時間を費やして論文を書いていました)。

税法2科目免除されるのですからきつくて当然です。そのことを肝に銘じておきましょう。

終わりに

私自身、税法免除大学院にて修士論文を作成し、卒業後に国税庁へ申請を行い、先日税法免除の通知を受け取ることができました!⇒【該当記事】

大学院で学ぶことは、毎年8月に行われる税理士試験とは全く違う刺激を受けることができます。

勉強をする環境も違いますし、何より租税法学の本質を学ぶことができます。もちろん、税理士になる以上いずれかのタイミングで租税法学を学ぶことにはなるかと思いますが、独学で学ぶより確実に理解が深まります。

そしてこれは、実務、特に租税法規を読み解く際の能力が格段に上がったと感じております。

これまでは、長い文章や租税法規を読むことに対し、非常に苦手意識を感じておりましたが、修士論文の作成を終えるころには、その苦手意識も無くなり、大量の文章を読むことが前に比べて楽になりました。

何よりも租税法規の解釈論を学べたことで、税務調査の際に解釈の相違が生じても、適切な対応ができる自信がつきました。

税理士業界の中には、「試験組以外の税理士は税理士ではない」とかいう人もいますが、私の周りには試験組だろうが、税法免除組だろうが、関係なく税理士として活躍している人が沢山います。

税理士試験に受かることはあくまでもスタートラインに立つための準備期間です。

本番は税理士試験に合格した後に、それまでに培った能力を発揮することです。

大学院では、その本番で使える知識・能力が身についたと自負しております。

現在私は、税理士登録に向けて動き出しています。

コロナウイルスの影響で行動に制限がかかる中ではございますが、できる限り早く、必要とされる環境に身を投じたい!その一心です。

追伸

いつも拙い記事を読んでくださり、ありがとうございます。コロナウイルスがなかなか収束しない中で、ストレスもたまる一方かと思いますが、どうかくれぐれもご自愛ください。

コロナウイルスが収束することを心より願います。