税理士試験の理論暗記を最短で記憶させる勉強法
エビングハウスの忘却曲線を理解する
エビングハウスの忘却曲線とは、エビングハウスという心理学者が記憶の忘却について調べたもので、記憶は、覚えてから20分前後で43%忘れ、1時間立つと55%近く忘れ、次の日には約80%忘れるということが分かっています(これは、脳の作りとして仕方がない事なので、なかなか理論暗記が進まなくても、それは普通の事です。イライラせず、3歩進んで2歩下がる精神で頑張りましょう)。
そのため、復習を行う際にもこれを意識した上で、スケジュールを組み立てる必要があります。
初暗記は狭い範囲を繰り返し行う
初見の項目の理論暗記は、狭い範囲を、短い時間で区切って繰り返し行うことが有効的です。
それでは皆さんに問題です。次のどちらの人の方が記憶が定着するでしょうか?
【前提】学習時間はトータル10時間までとし、テストは10日後に行う。
①1日10時間連続で学習をした人、②1日1時間の学習を10日連続で行った人
答えは②です。
これは、薄い記憶を繰り返し重ねる方が記憶の定着度が高いことを意味します。その為、理論暗記においては、理論1題を8割程度覚えたら、次の理論に進んでよいという事です。そうすることで、結果として理論テキストの広範囲を覚えることができるようになりますし、記憶の定着も図ることができます。
ただし、ここでもエビングハウスの忘却曲線を意識した復習が必要となることに注意してください。復習のタイミングについては次の項目で記載します。
復習は忘れかけのタイミングがベスト!
復習のタイミングは、忘れかけのタイミングがベストです。その理由として、脳は忘れかけたタイミングで再度同じ情報が入ってくると「これは忘れてはいけない情報だ!」と認識するようになり、脳にとって強い刺激となるからです。ですから、復習のタイミングは、忘れかけのタイミングがベストなのです。
五感を使った暗記は脳を刺激する
脳は、五感をフル活用すると記憶力がUPするようにできています。
手を動かして理論暗記をしてみよう!
私は、昨年、住民税を合格するまで、書いて理論暗記を行うという事はやってきませんでした。理由は、2点あり、書く時間が勿体ないということと、手が疲れるというです。
しかし、手を動かして理論暗記をすることは、脳を刺激し記憶の定着を促してくれます。また、実際に書いてみると漢字を正確に覚えていないことに気づくことができます。更に、普段から書くことに慣れておくことで、書くスピードが格段に上がりましたし、手首が鍛えられて、急に大量に書くことで引き起こされる「腱鞘炎」にならなくなりました。
耳で聞いて理論暗記をしてみよう!
とある女優の方が、「私は台本を覚えるときは、耳で聞いて覚える方が得意」とおっしゃっており、自分も、音楽なんかはすぐ覚える方なので、もしかしたら耳で聞いて覚える方が得意なのかなと思い、理論テキストをVOICEROID2という文字読み上げソフトを使用して暗記する方法を試してみました。
結果、自分には非常に合っていたと思います。
また、この音声データの活用法はいくつかありますので下記に記します。
・車の移動中(電車の移動中)に理論暗記ができる。
・お風呂でも理論暗記ができる。
・寝る直前に復習ができる(睡眠学習)。
・ウォーキングしながら理論暗記ができる。
・疲れていても聞き流すだけで復習になる。
これらの活用法は、スキマ時間をうまく使うことができます。そして、ウォーキングしながら理論暗記をすることは、体全体を使い、しかも、有酸素運動中に脳を使うことで通常時よりも記憶力がUPするといわれています(国税三法を受かった友人もウォーキングしながら理論暗記をしていました)。
匂いを使って理論暗記をしよう!
匂いを使う記憶は、脳に対して非常に強い刺激を与える記憶法といわれています。私自身、好きだった女性のつけていた香水の匂いはやはり忘れられないものです(笑)匂いは、感情や風景と結びつき記憶を促す効果があるので、自分の好きな香りを嗅ぎながら、理論暗記を行い、試験前にも同じ匂いを嗅いでから試験に臨むことで記憶がアウトプットされやすくなると思います。
色を使って理論暗記をしよう!
私は、理論暗記をする際、良く間違える部分に色をつけて意識付けをしていました。これをやることで、頭の中のイメージ図のうち、色が塗られている部分をアウトプットしやすくなりました。「理論テキストのあのページのあの黄色い部分」みたいな感じで、仮にど忘れしてもイメージを呼び出しやすく、そこから熟考すれば思い出せたことも度々ありましたのでオススメです。
睡眠は最低6時間はとることを心がける
睡眠は、記憶の栄養素だと考えましょう。日中に行った学習の脳への刷り込みは、睡眠中に行われます。そのため、睡眠時間を確保することは必須と言えます。私も長らく、睡眠時間を削ってまで勉強を行う習慣があったのですが、昨年は、できる限り6時間は寝るようにしていました。
私が実践したスケジュール
私が実践したスケジュールを表すと以下の様になります(寝るところから書いていきます)。
21:00~22:00 子供の寝かしつけ
22:00~23:00 理論暗記(耳栓つけて暗唱しつつ、部屋の中を歩く or 音声データ暗記)
5:30 起床、軽食、出社の用意
6:00~6:45 ウォーキングしながら理論暗記
7:30 車通勤(音声データ暗記)
8:00 会社到着、会議室で自習(計算問題を解く)
9:00 仕事開始
12:00 昼食(朝に買い込んできた食事を20分以内に食べる)
12:20~12:30 昼寝を10分間します。
12:30~13:00 理論暗記(耳栓をして黙読 or 音声データ暗記)
13:00 仕事開始
といった感じです!
意識すべき点としては、エビングハウスの忘却曲線を意識し、理論暗記の復習回数を増やすということです。一つ一つの学習時間は少ないですが、繰り返し薄い記憶でも良いので、忘れては思い出しを重ねていくことで、着実に前進し、確固とした記憶を付けていきました。
あとは、このスケジュールをどれだけこなせるか!当然根性も必要になってきます。
ただ、これは慣れの問題というか、習慣にできるか、できないかの問題だと個人的には思います。
私自身、学生のころから似たようなスケジュールで生活してきましたので、体に染みついているのです。
終わりに
税理士試験は、1年に1回なので長期的な戦いと言えると思います。また、科目によっては非常に広い範囲を学習しますので、効率良く学習していかないと時間が足りなくなってしまします。そのため、いかにして時間を作り出すかということと、少ない時間で記憶にとどめるかという2点を自分なりの方法確立させ、実行しなければ合格することはなかなか難しい試験です。
今回の記事では、私自身が実践した方法を公開していますが、これが必ず皆さんに当てはまるとは限りません。
あくまで参考の一つとして、自分に合うなと思う部分は積極的に取り入れて頂き、それ以外は自分なりの学習方法を確立させてみてください!